紀伊半島の環境保と地域持続性ネットワーク 紀伊・環境保全&持続性研究所(三重県津市)
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三重県津市野田の赤池・池尻池

 三重県津市野田の赤池、池尻池は、狭水路で繋がった二重池の構造になっている。この地域には雑木林が多い。この池の周りにも雑木林が多く、ウグイスをはじめ小鳥の鳴き声がよく聞こえる。

 2007年6月下旬に両池を訪れたが、付近の山林が工業用地として大々的に切り開かれ、土地造成が行われていた。土地造成区域の一部は、池尻池に接している。ため池をめぐる景観が台無しで残念だ。(2007.7.31掲載)
 
 6月21日に1時間かけて両池周辺を一巡し、トンボの採集と観察を行い、トンボの種類と数を調査した。その結果、コフキトンボが非常に多かった(少なくとも50匹以上)。次いで、コシアキトンボ25匹、シオカラトンボ9匹、ノシメトンボ4匹、ギンヤンマ2匹、オオアオイトトンボ2匹、ショウジョウトンボ1匹、アオモンイトトンボ1匹であった。筆者は、1回の調査ながら、このため池にトンボの数と種類が多いのに感激した。カワセミも1羽見かけた。(2007.6.28掲載)

 筆者が、2006年〜2007年の2年間、トンボの種数を観察したところ24種認められ、特に個体数が多かったのはコフキトンボ、シオヤトンボ、シオカラトンボ、コシアキトンボ、ノシメトンボ、ナツアカネ、アキアカネ、マイコアカネ、マユタテアカネ、アオモンイトトンボなどであった。池尻池にはカヤツリグサ科の抽水植物の群落があり、また、池尻池、赤池のほか大小のため池がかたまっていること、池周辺に林がありトンボ成虫の餌場となっていることなど、この場所はトンボの多様性を支える生態的な特徴があるようだ。(2007.6.28掲載)

 ただ、ため池にブラックバス、ブルーギルの魚影を見かけたので、今後、外来魚の繁殖と発育によっては、ヤゴへの捕食圧が高まる可能性がある。今後のトンボの繁殖への影響をみる必要がある。また、工業団地の造成がされており、ため池との間に樹木帯が設けられたが、ため池の景観を含めて環境を保全していくことが必要だ。

 現在(2009年)、農林水産省は「ため池百選」を選定するために、全国各地のため池を募集している。筆者は、津市にあり、このホームページで取り上げたため池の中から、「赤池、池尻池ため池群」を推薦した。身近なため池として、生物多様性に優れ、近在の学校が自然観察の場として使っているなど、ため池の多面的機能の理解の増進と、周辺住民が親水性空間をさらに利用し、楽しんでいく可能性が高いと思われたからだ。赤池、池尻池ため池群は、一見して誰もが賞賛するような絶景を有しているわけではないが、身近にあって、訪れる人をほっとさせる親水性空間を有しており、地元として、赤池、池尻池ため池群に一層目を向け、景観と生物多様性を保全していって欲しい気持ちからである。(2009.6.27掲載) 
 
(写真をクリックすると拡大します)
三重県津市野田の赤池と池尻池
 池尻池から赤池方向を見る。両池の境となる堰堤が奥に見える。池尻池の面積は14,100m2である。
池尻池の堰堤
 両池の境の堰堤から、池尻池の堰堤方向を見る。現在は、右手の山林が切り開かれ、工業用地として造成されている。 
池尻池と赤池をつなぐ水路
 池尻池と赤池とをつなぐ水路を見る。山桜の花びらが水路に浮いている。
赤池の奥を見る
 両池の境となる堰堤上から赤池の奥を見る。赤池の向こうに津市西部クリーンセンターの建物と煙突が見える。赤池の面積は、24,700m2である。  
池尻池と赤池の境の堰堤
 左側が池尻池、右手が赤池。境の堰堤上には曲がりくねった小径がある。
 池尻池に隣接する丘陵地帯が工業用団地として造成されつつある。造成開始前は、上から2番目の写真のようであった。池尻池、赤池は景観的にも優れ、トンボ等の生物多様性にも富んだ場所であるので、ため池の環境を保全するために、造成後に池沿いに樹木を植栽すべきである(2007年6月21日撮影)。
 造成された工業団地の法面(のりめん)に植えられた常緑樹の苗。これらの苗が活着して生長し緑に覆われると、ため池の景観が回復してくるだろう(2008年4月23日撮影)。
 池尻池と赤池の境の堰堤上の小径は、赤池に沿った林の中の道に繋がっている。この小径は、一方の端にある松林池まで約1.2km続いている。早春期の、除草がされた時期には、この小径沿いにため池の景観を楽しみながら歩ける。夏期には小径が草で覆われてしまう。写真の小さなため池は、小径の途中にあり、抽水植物であるガマの群落が見え、カワセミが小魚を獲っているのが見られることがある。
 
 池尻池と赤池の境あたりに、金網のゲートがあり、そのわきに地図を示した立て看板が立っています。2016年4月からオープンした「津市リサイクルセンター自然公園」です。ゲートのわきが開いていて入ることができます(時間制限あり)。赤池の東側の山林を改造して自然公園を作っています(この部分、2016年6月12日更新)。
 6月初めの好天気の日に、自然公園に中に入って見てきました。その様子は、下記のURLをクリックしてご覧ください。 
 URL:  http://www.zc.ztv.ne.jp/kiikankyo/newpage1 shizenkoen.html

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